スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

素顔のままで・ファイナル



枝雀さんは仰った。

いつの日からか、自分の素顔がわからなくなりました。
私の笑顔は偽りだとも言われます。それでもかまいませんよ。
仮面を被り続けることで、それがいつしか自分の素顔になるかもしれません。
ならば、楽しい仮面の方が良いでしょう。だから、私は笑います。笑顔の仮面を被り続けます。

枝雀さんが最後の最後に仮面を外し、あの結末へと到ったのであれば、それはあまりに悲しすぎます。
演目を終えて、舞台袖へと捌けて行く枝雀さんの横顔が、多くのことを物語っているように感じるのは、
恐らく私だけではないでしょう。希代の爆笑王の微笑みは、私に「笑い」の厳しさを教えてくれるのです。

テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

冷たく流るる血



1950年代にアメリカの片田舎で実際に起きた一家惨殺事件。
凄惨極まりない悪夢のような事件を、5年の歳月をかけて追った渾身のルポタージュ。
おそらく誰が読んでも、心を掻き毟られるのではないでしょうか?
幽霊だ、ゾンビだ、とか言ってキャーキャー言うてますけど、人間ほど恐ろしいものはありません。
文字に変換されているとは言え、加害者ペリーと正面から向き合うのには、強烈な苦痛が伴います。

植物が必ずしも真っ直ぐに育たないのと同じで、「あるべき姿」が分からないままに成長してしまう人間もいる。
人間は、その捩れを意識的に修正することは可能なんでしょうか? どうか教えて下さい、夜回り先生。
本書を読んで、僕は日本の「彼」のことが何度も脳裏を過ぎりました。生かされることを許された「彼」。
それは捩れを修正するための時間を与えられたと言い換えることができるのかもしれません。

『冷血』はミステリーの類いではないので、はっきりと申し上げますが、ペリーにはその機会が与えられません。
つまりは極刑に処されるのです。魂を絶つこと、捩れを断つことで、ひとまず人間は人間から眼を背けるのです。
僕には分かりません。人間を裁くということの真の解決策が・・・。裁かれるべき人間が存在するのも事実で・・・。
確かなことは、僕たちの体内には、熱い血だけではなく、冷たい血も流れているということですね。
それが捩れを生み、そして、目を覆いたくなるような惨劇につながっていくということなのでしょう。
クリスマスに、こんな話題で、本当にすみません(笑)。

トルーマン・カポーティ / 冷血

テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

すべてが穏やかだ・・・



多くを求めず、自分のやるべきことをやり、家族や仲間との時間を大切にする。
主張があるならば、自ら創造し、如何なる者にも媚びてはならない。

アンダーグラウンド・レジスタンス(以下、UR)という存在を知り、上記のような人生哲学を学んだ。
思春期に彼らの音楽に出会わなければ、いまとはまったく異なる人生を歩んでいたかもしれない。
彼らの音や、言動、スタンス、それらすべてが、青臭いガキの精神的支柱になっていた。いや、いまもそうだ。
URの12インチ・レコードに針を落とせば、いつだって僕は勇気づけられる。目を閉じれば宇宙にだって行ける。
テクニックだけが音楽をスウィングさせる訳じゃない。感情が、熱量が、魂が、音楽をスウィングさせる。

雷鳴を轟かせながら、地響きのようなトライバル・ビートが迫る「Amazon」を聴いて欲しい。
美しい循環コードのリフが天高く舞う「Jupiter Jazz」を聴いて欲しい。
そして、魂を揺さぶる「Hi-Tech Jazz」を聴いて欲しい。

決して大袈裟な表現ではなく、これらの楽曲は、いまでも僕の涙腺を崩壊させる力を持っている。
今日、きっと彼らはデトロイトのゲットーで、地元の人たちを集めて、クリスマス・パーティをやるんだろうな。
見張り役のマイク・バンクスは、夜空を見上げるかな? 僕は見上げよう。URの美しい名曲に、身を委ねながら。
『WORLD 2 WORLD』のアナログ盤面には、以下のような言葉が刻まれている。

「ALL IS CALM FOR NOW」

Galaxy 2 Galaxy / a hitech jazz compilation

テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

リリカル・ハミング・バード



『モロイ』(サミュエル・ベケット著)という小説の中に、面白いオウムが登場します。
極めて清楚な淑女に飼われているオウムなんですが、こいつが実によく喋るのです。
首を傾げ、じっくりと思案した後に言い放ちます。「この売女の、助平の、糞たれの、たれ流し」。
それを聞いたモロイは思います。「私は彼女を理解するより、オウムのほうをよく理解した」。
なははは、やっぱりベケットは面白い。これほど背筋がゾーッとする状況も、そうそうないでしょう。
清楚な女性の愛玩動物が放つスラング。「この売女の、助平の、糞たれの、たれ流し」。なははは。

と、例によって脱線トリオな前置きを経てのピシンギーニャです。ライスレコード曰く、ブラジル音楽の父。
僕の数少ないブラジル音楽コレクション(と言えるほどの数もない・・・)の中でも、特に好みの一枚ですね。
ベケットの描いたオウムではありませんが、ピシンギーニャのフルートも、実によくさえずります。そう、
ショーロやジャズやアフロの狭間を飛翔し、極めてリリカル(叙情的)なさえずりを聴かせてくれるのです。
僕はオシャレなカフェなんかで流れているオシャレなボサノバなんかが苦手で、ブラジル音楽そのものを
長らく敬遠していたんですけど、この天才フルート奏者は別格。もちろん詳しいことは何も知りませんよ。
ただ、音のみに魅了されました。絶妙にブレンドされた「黒さ」と「白さ」。大衆を鼓舞するパーカッション群。
こんなのがカフェで流れてきたら、コーヒー16杯は軽いでしょう。嘘です。コーヒー飲めません。

PIXINGUINHA / O MAESTRO DO BRASIL

テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

若い者には負けません



プランテーション店長が発掘し、東京レコ・オヤジさんが『オヤジ四人衆』というタイトルで
全国に宣布された70年代ヴィンテージ・ルークトゥンの名盤コンピレーション・アルバムです。
ペルーのじっちゃんセッションに匹敵する内容ながら、こちらはもっとメタボリックと言いますか、
血糖値高めの楽曲が、これでもかと目白押し。クリオージョ音楽とは対極のフェロモンが漂っています。
でもやっぱりタイはこうでなくっちゃ。僕は本作がきっかけで、まとわりつくタイ音楽の虜になりました。
一部のクラブ界隈で「毒キノコ」的サウンドとして注目を集めるデジタル・クンビアなんかとは、まるで比較に
ならないほどの中毒性があります。普通の椎茸なんだけど、マジックマッシュルームの効能も含有している
とでも言えば、ご理解いただけるでしょうか。しかも、こちらは70年代ですから。遡る未来ってやつですね。

若かりし頃の武勇伝を語り合っていたオヤジ連中が、次第にエキサイトしてきて、「いやいや、ワシらは
まだまだ若い奴らにゃ負けん!」と意気込むかのように、ラストの曲ではエレキギターが唸りを上げます。
しかし体力の衰えは顕著で、すぐに心拍数は180オーバーの心臓ばくばく状態。結果、「やっぱりワシら
ケーン(笙)とラナートエク(木琴)で充分ですわ」なんていう展開が、無駄に涙と笑いを誘います。
ワイポット・ペットスパン、ローム・シータムライ、サマイ・オームワン、スワン・サンティ=オヤジ四人衆の
メタボリック・ファンクネスによって、今日もダラダラと日が暮れる。それで良いのだ、と思わせられる傑作。
ハズレ曲なし。7曲目なんて、まるでジ・オーブが手掛けたかのような、アジアン・アンビエントですよ。

V. A / 4 クンポンプレーン

テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

プロフィール

繁盛亭アルバイテン

Author:繁盛亭アルバイテン
ヒッピー・ボヘミアンな生活に憧憬を抱く浪速のポンコツ。
物心ついたときから寝つきが悪い。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。