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アナーキー・イン・ザ・SM



近所のスーパー・マーケットに行くと、妙な光景に遭遇した。
店内通路のど真ん中に、買い物カゴが置かれているのである。なに食わぬ顔で、デーンと。
カッパドキアのキノコ岩や屋久島の屋久杉のように、何千年も前からそこに鎮座しているかのようだ。
有無を言わせぬ存在感を放つカゴは、周囲の買い物客を、これでもかと言わんばかりに威嚇していた。

誰もそれをどけようとしないどころか、近づこうともしない。
自分と同じようにたまたまカゴと対面した客は、慌てて踵を返し、別ルートへの迂回を余儀なくされていた。
あれは何なのか? スーパーの守り神なのかしらん? お賽銭、いる?

陳列棚の陰からしばらく観察を続けていると、チョカチョカとカゴに近づく、ひとりの老婆の姿があった。
カゴに挑もうかという、頼もしい人物の登場なのだろうか。淡い期待を抱いたが、なにやら様子が違った。
何と老婆は手にした白菜やエリンギといった野菜を、次々と当のカゴに投げ入れていくではないか。
一切の躊躇もなく、である。恐らく良心の呵責さえ感じてはいないだろう。

ひと通り手の中の品物を入れ終えた老婆は、何事もなかったかのように、カゴの前から姿を消した。
しかし、それで終わりではなかった。数分後には、パンやヨーグルトを両腕いっぱいに抱えての再登場である。
そして、先程と同様に、ドサドサとカゴの中に投げ入れ始めた。私は言葉を失った。

得体の知れないカゴの正体は、ババアの活動拠点だったのだ。
カゴが此処にあることで、ババアは手ぶらで買い物を楽しむことができる。
しかも此処は、どの売り場への遠征も有効な、スーパーの中心地点なのだ。
それは米国にとっての普天間のように、極めて都合の良い基地であるに違いない。

唖然としてその場に立ち尽くす私であったが、次の瞬間、カゴから顔を上げた老婆と視線が重なった。
鋭いまなざしに射すくめられる私。一歩も動けない私。すると老婆がたった一言こう呟いた。
「あかんか?」
私は、静かに首を横に振ることしかできない。口中の唾液が苦かった。
くるりと背を向けて、ふたたび戦線へと旅立つ老婆。その背中にプリントされていた「DESTROY」の文字。
すっかり丸くなった背中。よれよれのTシャツ。そこに燦然と輝く赤字の「DESTROY」である。
破壊の季節がやってくる。ひしひしと実感した。間違いない。破壊の季節はやってくるのだよ。

たちまちパンキッシュな気分になった私は、店員からの「レジ袋はご利用ですか?」との問いに対して
「ノー・フューチャー」と答え、慌しく帰路に着いた。
帰宅してもパンキッシュな昂揚は一向に鎮まらず、夢中になってパンク音楽を求めた。

そして棚の奥底から引っ張り出したのが、日本のハードコアの極北とも言えるコンピレーション・アルバムである。
これだ、これだ、これを求めていたのだ。私は早速、BOSEのサウンドウェーヴ・システムにCDを放り込んだ。

日本最狂のクラストコア・バンド、アブラハム・クロスのヘヴィなグルーヴが、スピーカーから放出される。
爆裂するノイズの衝撃波が、矢継ぎ早に襲い掛かってくる。私は意識するともなく、拳を天高く突き上げた。
六畳間でのロンリー・モッシュ地獄は、妻が帰宅するまでの間、永遠と繰り返されたのであった。

V.A / TERRO-RHYTHM#2
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非公開コメント

No title

これ~、、、おもろかったわーー寝床で爆笑や~

パンク?

デソトロイー!!

今年はやるで!やりまくるで!なにをか知らんけどやりまくるで!ンがソになっても気にせえへんで!

見てろ!僕は燃えてるんだ!そしてそれと同じくらい酔ってるんだ!

おやすみなさデソトローイィ!

No title

ハラー先輩、真夜中のハイテンション・コメントありがとう。
これが、こないだ話したDESTROYばあちゃんですよ。
あのときの「あかんか?」には、「こっち見んな、しばくぞ、コラ」という意が含まれていました。

ハラー先輩、今年はやろう!やりましょう!
とりあえず、また飯でも行きましょう。ほんで、その後ボーリングでもしましょう。

No title

なぜまたボーリング?

兎にも角にも楽しむことがパンク精神かと思っています。
飼いならされるな!日本男児!!がんばれ日本人!

No title

muさん、良いこと言いますねぇ。
楽しむことがパンク。それ即ち奴らのルールに捉われるなってことですよね?
楽しまなきゃ、せっかくもらった自分たちだけの人生やもんね。
ボーリングは男磨きの必須科目ですよ(笑)。
プロフィール

繁盛亭アルバイテン

Author:繁盛亭アルバイテン
ヒッピー・ボヘミアンな生活に憧憬を抱く浪速のポンコツ。
物心ついたときから寝つきが悪い。

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