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妄撮・トルコ風呂



繁盛亭の視線の先に、装飾灯のアーチがあった。トルコ風呂だった。
中に足を踏み入れると、ギュル・オズカンという名の湯女が出迎えてくれた。
内側から扉を閉めるなり、湯女ギュル・オズカンは白いうわっぱりを脱いだ。
腹から上には乳かくしをしているだけだった。

その湯女がテーラード・ジャケットのボタンを外してくれるので、繁盛亭はふと身を引きかけたが、
任せていると、足元にひざまずいて、靴下まで脱がせてくれた。
繁盛亭は香水風呂に入った。タイルの色のせいで、湯はみどりに見えた。
香水の匂いはあまりよくないのだが、ゲットーの安宿から安宿へと隠れ歩いてきた繁盛亭には、
とにかく花のかおりだった。

香水風呂を出ると、湯女が身体をすっかり洗ってくれた。
足元にしゃがんで、足の指の間まで、娘の手で洗ってくれた。
繁盛亭は湯女の頭を見下ろしていた。昔の洗い髪のように後ろへ垂れて、妖艶であった。

「お股をお洗い致しましょうか?」
「ええ? お股まで洗ってくれるの?」
「どうぞ・・・。お洗い致しますわ」

そう言えば、ずいぶん股間を洗わなかったから臭いのだろうと、繁盛亭はふと脅えたが、
石鹸の泡で急所を揉まれているうちに気後れはなくなって、思わず次のような言葉をかけてしまう。

「あんたの声は、実に良い声だね」
「声・・・・・・?」
「哀愁がこもっていて、愛情がこもっていて、それで明るくきれいだね。あんた恋愛してるの?」
「恥ずかしくて、ものが言えなくなりますわ」

繁盛亭は涙ぐみそうになっていた。ギュル・オズカンの声に、清らかな幸福と温い救済を感じていた。
永遠の女性の声か、慈悲の母の声なのだろうか。

*当記事は川端康成の『みずうみ』を下敷きにしています。川端先生、ギュルさん、本当にごめんなさい。

GUL OZKAN / HAYAL
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テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

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No title

相変わらずめっさ冴えていらっしゃいますね~。
こんな妄撮ができるブツなら、是非とも聞きたい
です♪

No title

ころんさん、ありがとうございます。
でも今回の記事は、すべて川端康成先生のお陰であります。
完全なる不法サンプリングですが、ギュル嬢の素晴らしい音楽が、
僕をイリーガルの道へと導いたのです(笑)。
本当に良い作品ですよ。聴き惚れてしまいます。
プロフィール

繁盛亭アルバイテン

Author:繁盛亭アルバイテン
ヒッピー・ボヘミアンな生活に憧憬を抱く浪速のポンコツ。
物心ついたときから寝つきが悪い。

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