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言葉で見る砂漠



フランスによる植民地化の波のなかで、抵抗しつつも滅亡の道をたどるサハラの民の物語と、
その末裔である現代の少女ララの遍歴を合わせ、神話的世界を作りあげた傑作。

これは血の物語だ。人物の固有性を証明する血。民族に受け継がれる血。抗争によって流される血。
大地と血。叡智と血。恥辱と血。これは圧倒的な血の物語なのだ。

極めて密度の高い文章が、読者の脳裏に映像を喚起させる。
音が聴こえる。祈りが聴こえる。そして、驚くべきことに臭いがする。
我々が戦争を追体験できないことの要因に「臭い」がある。そうではなかったか?

ル・クレジオはあらゆる情景を、すべて自身の言葉に置き換える。繊細で純度の高い言葉に。
それは、我が国の至宝である安土桃山の絵師・長谷川等伯とは間逆の世界観。
言葉によって見るという哲学、その行為の敬虔な殉教者の如し。
血の通った表現、言葉。やはり、ここでも血だ。血の連鎖が生む、紛れもない芸術。

砂漠と都会。アフリカとフランス。そこに優劣などある筈はない。あるのは決定的な差異である。
そんなあたりまえのことを、本書を読んで改めて痛感した。言葉によって知ったのだ。
実はすべての人種が遊牧民なのかも知れない。魂のノマド。行き着く先など知る由もなく、生きている。

勇断することの美しさと危険性。穢れなき者の、穢れ。
二律背反するものが自分の頭の中をぐるぐる駆け巡り、砂塵を巻き上げた。答えなど、知る由もなく。
最後は誰もが沈黙に包まれるだろう。沈黙、それは我々に等しく与えられた泉のようなもの。
マグレブ音楽にある種の憧憬を抱いてしまう自分にとっては、避けては通れない物語だった。

ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ / 砂漠
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テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

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繁盛亭アルバイテン

Author:繁盛亭アルバイテン
ヒッピー・ボヘミアンな生活に憧憬を抱く浪速のポンコツ。
物心ついたときから寝つきが悪い。

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