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幻のアフリカ



ずっと読みたいと思っていたが入手困難、もしくはあまりに高額のために手が出なかった一冊。
念願叶って待望の文庫化。もちろん即購入。とは言え、文庫で2,800円、総ページ数1065頁のメガ・ノヴェル。
今月はこいつをずっーと夢中で読み耽っていたので、ブログの更新が若干スローダウンしてしまった。

この重厚極まるモンスター書籍は、一体なんなのか?
簡単に言うと、ダカール=ジブチ・アフリカ調査団に書記として同行したフランス人作家による日記である。
記された期間は、1931年5月19日~1933年2月16日まで。この間、1日も欠かすことなく書き付けられている。
当然のことながら、本書は民俗学調査の正式文書であることを大前提としている。だが、何を血迷ったのか、
日記には学術書の範疇には留まらないあんなことやこんなことが詳細に書き留められているのだ。
例えば、セリマンという現地ガイドにまつわるエトセトラ。以下、抜粋。

今朝、セリマンが自分のために小さなオウムを買った。
昼間、ティエモロがセリマンに向かって、彼のオウムは大きくならないだろうし、
それを買ったのは金を盗まれたようなものだと言ったものだから、セリマンは今にも泣き出しそうだった。


知らんがな! そんなんどうでもええわ! いやいや、これが、どうしてなかなか面白い。
このような具合に、調査記録に混じって、どうでもええようなことや、突然の先進国批判や、スケベな妄想や、
不平不満や、自分の次回作の構想なんかが、縦横無尽に駆け巡っていくのである。要するに何でもありなのだ。
ときには雄弁に、ときにはダラダラと、すべてはその日の気分次第。そら調査団・団長とも決裂するわいな(笑)。
けれど、レリスのおっさんの筆は無闇に暴走していた訳ではない。ある思想に基づいての確信的行為なのだ。
それはつまり、人は最大限の主観性を通じて、客観性に達するという、彼なりのモラルである。
ザールの供犠が行われた際、生け贄である羊の血を飲んだ女性が口をすすいでいる光景を見て、
客にフェラチオをしたあとに、目の前で臆面もなく歯を磨く娼婦の姿を思い出すあたりは、背筋がゾクゾクした。
なんてリアルな表現だろうか! この感性を発端に、我々の足元から、幻のアフリカが立ち上がってくる気がした。

それに、ミシェル・レリスは奇を衒っている訳ではない。むしろ誰よりも真摯なのだ。僕はそう思う。
正直言って、アフリカの地での調査団の行いは傲慢そのもの。それを我が目を通してあるがままに描写し、
世界に伝えようとしたミシェル・レリスは、例えスケベな妄想に耽ろうが、夢精を連発しようが、真摯なのだ。
この先、僕は一生かけて本書を読み続けていくだろう。幻のアフリカ、そのまた幻を求めて・・・。

根をつめて仕事。ある程度精を出してやってはいるが、情熱は一かけらもない。
僕は憑依者たちを研究するよりは憑かれたい。《女ザール》の詳細を科学的に知るよりは、
《女ザール》を身体で知りたいのだ。抽象的な知識など、僕にとっては二の次のものでしかない。


ミシェル・レリス / 幻のアフリカ
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テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

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繁盛亭アルバイテン

Author:繁盛亭アルバイテン
ヒッピー・ボヘミアンな生活に憧憬を抱く浪速のポンコツ。
物心ついたときから寝つきが悪い。

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