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濡らして打つは舌鼓



コース料理にはストーリーがある。
前菜→スープ→旬物→メイン→デザートという道のりは、決して平坦ではない。
シェフの魂と技巧を凝らした絶品料理の数々に、挑み、喰らう。
ときに涙し、ときに笑い、ときに絶句しながら、完食というゴールを目指すのだ。
すべてを食した後には、フォークの先に新たな地平が広がる訳である。
古代ギリシャの哲学者ソクラテスは言った。
「食べるために生きるな。生きるために食べよ」

短編小説はコース料理である。
はじまりの一編から終わりの一編に至るまでの道のりは、決して平坦ではない。
作家の魂と技巧を凝らした絶品小話の数々に、挑み、没入する。
ときに涙し、ときに笑い、ときに絶句しながら、読了というゴールを目指すのだ。
すべてを読み終わったあと、言葉の向こうには未踏の領域が広がる訳である。
現代日本の低所得者アルバイテンは言う。
「読むために生きるな。生きるために読め」

さて、今回挑むべくコース料理は、トマス・ピンチョンの初期短編集『スロー・ラーナー』。
ピンチョンと言えば、世界一難解で、世界一面白い作品を書くことで有名な、超絶技巧派です。
その難解さ、重厚さ故に、自分は代表作『V』も『重力の虹』も途中で匙を投げてしまいました。
そんなヘタレ人間でも楽しく味わえるのが本作品なのです。まず短編というのが、非常にありがたい。
とは言いましても、ピンチョンのマッドサイエンティストぶりが薄まっている訳ではありません。
例によって荒唐無稽で、超科学的で、ホラ吹きで、つまりは最高に美味しい小話が満載ってことです。
スタイリッシュなスパイ物や、狂ったダーク・ファンタジーなどが、読者の舌を濡らします。
ちなみにドープな装丁は、大竹伸朗画伯の『パズルパンクス2006』の断片です。ごちそうさまでした。

トマス・ピンチョン / スロー・ラーナー
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テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

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繁盛亭アルバイテン

Author:繁盛亭アルバイテン
ヒッピー・ボヘミアンな生活に憧憬を抱く浪速のポンコツ。
物心ついたときから寝つきが悪い。

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