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カラクリ人間かく語りき



我、人形浄瑠璃見る。ゆえに我、人間なり・・・、とは、とても思えない。
それほど、浄瑠璃人形たちは強烈に人間臭かった。
真に、人間の魂を内包しているとしか思えなかった。

国立文楽劇場に勤める友人の粋な計らいにより、
『寿式三番曹/義経千本桜』を観劇させてもらったときのことである。

まずは冒頭の『寿式三番曹』が素晴らしかった。
古典芸能と聞くと、どうも敷居が高いと言うか、無意識に構えてしまいがち。
でも、そんなものは杞憂に過ぎなかった。友人曰く「これぞジャパニーズ・ボレロ」。
一糸乱れぬ三味線のミニマル合奏。モロッコのグナワやインドの古典音楽のように、
終盤にかけて超絶的な早弾きが一気に加速する。踊る人形も必死のパッチ。
それぞれ性格のようなものが滲み出ていて、とても面白い。
「彼ら」につられて観客の後頭部も、みな一様に揺れている。なんだか自然と涙が零れた。
となりを見たら、妻も同じ。白い歯を見せて、ボロボロ泣いてた。

そして、お待ちかねの大長編『義経千本桜』の幕開けである。
誰もが知っている平家と源氏を巡る、アノお話。
平家の将軍和盛が迎える壮絶/凄絶な終局に、穢れのない武士道、大和魂を見せつけられた。
売店のおっさんの素っ気ない態度ごときにクサクサしていた自分の、なんとちっぽけなことか!

人形を操るのは人間国宝をはじめとする素晴らしき技師たちであるが、人形たちの凛々しい
立ち振る舞いからは、すでに人間の手を離れて確立された、生命の気配が伝わってくる。
人間と人形の一進一退の攻防。境界線は次第に薄れていく。
その果てに、観客を魅了する芸の道が拓かれる。芸とは、つまり生きること。
死を臆さぬ侍たちの姿に、尋常でない血の脈動を感じたのだ。

四時間強の旅路のあと、薄汚い大阪の街を歩きながらも、自分の袖に手を絡めてくる存在から
目を背けることは、もはや出来ない。それは権威であり既成概念、或いは型にハマった欲望だ。

「解き放たれよ・・・」

「彼ら」は舞台上から、そう語りかけてきたではないか。
僕は妻の手をむんずと握り締め、猥雑なネオン街を一気に駆け抜けた。
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テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Author:繁盛亭アルバイテン
ヒッピー・ボヘミアンな生活に憧憬を抱く浪速のポンコツ。
物心ついたときから寝つきが悪い。

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