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第四次ブラック大戦的フェミニスト革命

erykah2.jpg


「This is the man, this is the man's man's world」なんてことを油ギッシュにシャウトする男がいる。
それでいて最後には「without woman and girl」なんてことを平然と言ってのけるんだぜ。
つまり、世界は男が創ったものなんだと。けれど、女がいなけりゃ面白くないって。
言ってくれるねぇ、モッコリ大将。

そんな男性優位社会に対し、エリカ・バドゥは毅然とした態度と言葉で、鮮やかに楔を打ち込む。
女として生きていくことの不安や不満、それらを上回る誇りを、創造的に紡いでいくのだ。
創造的というのは極めて重要で、彼女の試みは偏屈なフェミニストの井戸端会議には陥らない。
特に、この4枚目のアルバムでは、かつてないほどにアヴァンギャルドな音を身に纏っている。

脇を固めるのはマッド・リブ、ナインス・ワンダー、サーラーといった気鋭のプロデューサー陣。
彼らの織り成す宇宙的で、宗教的で、ドープ・シットなサウンドを軽々と乗りこなすバドゥに脱帽する。
ここをスタンダードにして、彼女の戦いは今後も続いていくのだろう。
自民や民主ではなく、エリカ・バドゥにこそ清き一票を投じたい。心から、そう思う。

追記 :
妹から拝借した続編を聴く。
従来の作風に、やや舵を戻しつつも、細部に職人技が光る傑作でした。

ERYKAH BADU / New Amerykah Part one
ERYKAH BADU / New Amerykah Part two
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テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

シンボリック・ジャーニー2010



親戚の子供たちと天王寺動物園に行ったときのこと。
背中に立派なコブを持つラクダを見て、五歳の長男が耳を疑うような台詞を口にしました。

「どち○こラクダやぁー!」

そして、園内で購入したスティック・アイスを齧る兄を見て、ふたりの妹が放った言葉とは。

「あー、お兄ぃ。ち○ち○しゃぶってるー!」

耳を塞ぎたくなると言うか、穴があったら入りたい展開ですが、仕方ありません。
シンボルを指す魅惑のwordは、幼児にとってはdrugにも等しい魔力と求心力を秘めていますから。
出会い頭に「ち○こ」と言えば、たちまち分かち合えてしまう共通のフリーパスのようなもの。
「少年よ、大志とち○こを抱け」なんてことを誰が言ったのかは知りませんが、
彼ら子供たちにとって、それはまさに希望と同義なのでしょうね。

さて、そんなシンボルを軸に据えて物語が疾走する小説というのが、世の中には存在します。
それが『マリリン・モンロー・ノー・リターン』のB面に収録された『鎮守の森』です。
著者は土井政司とかいう、何処の馬の骨だか分からない男。
本作で描かれているのは、ひとつの街で交わされる神と童貞とシンボルの慇懃なクロス。いやぁ、酷い。
裏山に降臨した神、シンボルが肥大化し続ける少年、妄念に取り憑かれた童貞の官能小説家らが交わるとき、
そこにひとつの神話が誕生する。ちなみに表題作は国会討論をサイケデリックに飛躍したもので、
野坂昭如先生へのオマージュとなっています。うん? オマージュだと? なぜそんなことがわかるのか?
何を隠そう、執筆者が私であるから(笑)。繁盛亭アルバイテンとは土井政司のオルター・エゴなのです。
とにかく、この酷さ。是非とも皆様の目で確かめていただきたいところなんですが、2010年現在、絶版。
無念です。新生出版さん、再版たのみますよー(笑)。

その後、紆余曲折を経て、自分は『Bone Cat Books』という家庭内手工業な出版レーベルを立ち上げました。
現在までに二冊の作品を世に送り出し、関西圏のカフェや雑貨屋などに置かせてもらっています。
もしも目にする機会があれば、是非とも手にとってやってください。よろしくお願い致します。
そして光栄なことに、questaoさんがその二冊を『パンゲア食堂繁盛記』にて紹介して下さいました。
感謝感激!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 

土井政司 a.k.a 繁盛亭アルバイテン / マリリン・モンロー・ノー・リターン+鎮守の森

テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

草食系ランチェーラ男子



エルスール・レコーズ・原田店長の情熱的な紹介文を読んで、迷わず購入した本作。
60年代のノルテーニャ・ソング集。歌うのはリーマン・ショック・ヘアーなコルネリオ・レイナ。
ギター、アコーディオン、アルパの伴奏に乗って、ペーソス溢れる歌唱を聴かせてくれます。
ライ・クーダーをまともに聴いたことがない自分には、彼が標榜したテックス・メックスの世界と
本作を比較する尺度は持ち合わせていません。でも、これは良い。すっごく、沁みますよ。
ついつい親近感を抱いてしまう薄志弱行の世界。来るべき五月病を助長する微睡のセンチメンタリズム。

そう、それはまるで派遣社員をしっかりと指導できない経理部の部長のような。
そう、それはまるでコンパで自己紹介のタイミングを逃した大学院生のような。
そう、それはまるで『愛のコリーダ』で性に目覚める中二の夏のような。
そう、それはまるで教室の片隅で牛乳の悪臭を放つ生渇きの雑巾のような。
そう、それはまるで沢尻エリカの扱いに四苦八苦する芸能リポーターのような。
そう、それはまるで米国のメディアに阿呆呼ばわりされる一国の主のような。
そう、それはまるでシャワーをした後に押し寄せる便意のような。
そう、それはまるで不意にTV画面に映し出されたアワビに動揺を隠せない私のような。
そう、それはまるで・・・・・・・・・あかん、もう出てきまへん。

低俗な比喩を転がしてしまいましたが、何とかコルネリオ・レイナの魅力が皆様に伝わることを願って、
そう、今夜はもう寝ます(自戒の念を込めて)。

CORNELIO REYNA / CORNELIO REYNA

テーマ : 音楽
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世界はジャンク・フード~Underground Disney Them~



子供たちが指を咥えて夢物語を紡ぎ出し、大人たちは悪夢のような現実から開放されて眠りに落ちる。
ちょうど、その頃。ログオフ状態にある街の中を、黒い一群が蠢き始めていた。
それはネズミの大群。凄まじい数の。おぞましく黒光りした、不滅の生物。

彼らは世界の地下、奥の奥の奥の奥の奥の奥の奥の奥の奥の最奥の果てから現出する。そして、四散。
眠りについた人家の天井裏や床下から侵入しては、柱を齧り、壁に穴を開け、あらゆる食材を食い散らかす。
人家だけではない。飲食店の厨房、ホテルの地下駐車場、団地のゴミ捨て場、公園に設置された屑籠。
あらゆる場所に彼らの姿はあり、人知れず猥雑な晩餐を繰り広げる。

そんなネズミたちを炊き付け、煽動するのが深淵より反響する不祥のsaxophone。
奏者の姿は暗闇と共にある。だが、霊性を帯びた音色が、禍々しくも実像を超越する。

そして、ネズミたち。
その数は留まることなく増え続け、道路脇の側溝は大小さまざまな毛皮で覆い尽くされていた。
いままさに彼らは、世界を底から食い破ろうとしている。闇夜の舞踏は終わらない。

増える。
まだ増える。
光を闇が凌駕する。
もはや、世界はジャンク・フード。
薄利多売で心が腐る。

ALBERAT AYLER / MUSIC IS THE HEALING FORCE OF THE UNIVERSE

テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

おばあちゃんの鐘



自宅で食事をしていたら、不意に天井からカランコロンという乾いた音が聞こえてくる。
音楽を聴いていてもカランコロン。読書をしていてもカランコロン。入浴中にもカランコロン。
セックスしててもオナニーしてても、カランコロン。此処に越してきた当初から聞こえるカランコロン。

それは、上の階に住む88歳のおばあちゃんが何かを床に落とす音。言うなれば、生活の音。
おばあちゃんは三階の部屋までの階段を、毎日15分くらいかけて上り下りしている。
「お兄ちゃん、ごめんねぇ。私おっちょこっちょいで、しょっちゅう床に物を落としてしまうのよ」
廊下で顔を合わせる度に、おばあちゃんは、本当に申し訳なさそうにそう言った。
でもね、おばあちゃん。謝る必要なんてないねんで。
毎晩聞こえてくるカランコロンを、僕たち夫婦は寧ろ微笑ましく思っているくらいやから。
今日もおばあちゃんは元気にやってるなぁ、そう思って、ふたりで笑ってる。

おばあちゃんは、こんなことも言ってくれたよな。
「あんたたちみたいな若い人と、少しでもお話ができて私は嬉しいよ」って。
照れ臭くて、あのときは何も言えなかったけど、僕たちも同じ気持ちやってんで。
HUGしてやりたかったくらい(笑)。

相変わらず僕は、繰り返す毎日の中で食事をし、音楽を聴き、読書をし、入浴をし、
セックスをして、オナニーをしてる。でも、いまはもう聞こえてこない。
おばあちゃんのカランコロンは・・・・・・。

映画『サマーウォーズ』を観たら、おばあちゃんのカランコロンを思い出した。めちゃくちゃ泣いた。
こんなの映画レヴューになってない。感想文にすらなってない。わかってる。でも仕方ない。
この感動を、僕は301号室のおばあちゃんに捧げる。
人間、誰だっていつかは死ぬ。その日が来るまで、自分なりの戦いを、自分なりに戦い抜くだけ。
物事の真理なんてものは、いつだってシンプルそのものなんだ。

細田守 監督 / サマーウォーズ

テーマ : 映画
ジャンル : 映画

ナンセンス・ライム・モンスター現る



大昔のダウンタウンの漫才ネタで「ウンコ味のカレーと、カレー味のウンコ、どっちが良い?」というのが
ありましたが、いま日本のヒットチャートを賑わせているラップグループのほとんどが後者ではないかと。
ルックスや口調は一応Bボーイ風でも、一皮捲れば四畳半フォークや青春パンクが顔を覗かせるという。
ギル・スコット・ヘロンが「革命はテレビには映らない」と歌っていた日から、時は流れて流されて・・・。

さて、そこでリル・ウェインであります。
長いドレッドと全身に刻まれた禍々しいタトゥー、口内に輝くプラチナのグリルに、まずは目を奪われます。
しかし真に圧倒されるのは、あらゆる規則から逸脱した不気味なラップの方なんですよね。
意味不明のラインを独特のフロウでネチネチとライムする、通称ウィージー。
彼の頭の中に「ヒップホップはメッセージを伝えるもの」なんていう考えは、毛頭ないのかもしれません。
植木鉢の底で蠢くナメクジみたいに気色が悪うございます。徹頭徹尾ナンセンス。
日本語の歌詞対訳を眺めるたびに、煙に巻かれて斬られて候です。ドロンパッ!!
そんなウィージーの得体の知れない魅力をありありと捉えたのが、3曲目の『A MILLI』でしょう。
全盛期のティンバにもう一捻り手を加えたようなイカれたトラックの上に、脅威の身体能力で刻まれるライム。
この曲を聴けば、ウィージーにとってラップをすることは何ら特別な行為ではなくて、
ただの「会話」に過ぎないのだということを思い知らされます。

ちなみに現在ウィージーは服役の身。
アリゾナで警察官に身柄を拘束されたとき、彼が手にしていた物品は、以下。

マリファナ・・・105グラム
スピード・・・29グラム
エクスタシー・・・41グラム
現金・・・22万ドル

LIL WAYNE / THA CARTER Ⅲ

テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

Samba De 夙川



ようやく本格的に暖かくなってきましたねぇ。
こんな気持ちの良い晴天の日は、のんびりとノープランで散歩するのが僕なりの休日の過ごし方。
そんな訳で向かったのが、兵庫県西宮市の夙川。好きなんですよねぇ、夙川。
街はキレイやし、緑は多いし、たくさんの優雅な猫たちに遭遇できるし。

夙川オアシスロードから西宮ヨット・ハーバーまで無自覚と自覚の狭間をブーラブラ。
随所に設置されたベンチでは、読書をする人や、気持ち良さそうに居眠りする人の姿がチラホラ。
赤やピンクのランドセルで、風景にパッと花を添える下校途中の子供たちがチョカチョカ。
木陰では高校生カップルが人目を忍んでチューチュー。
不揃いなサックスの音色がピャーピャー。

世界中で戦争やテロやクーデターが繰り返され、腐った政治が国民を愚弄する、このご時世。
こんなにも微笑ましく平和な空間が、ごく身近に存在するんですね。嬉しくなります。
本当の豊かさって、案外こんな所に転がってるのでは、なんてことを思ってしまいましたよ。
すいませんねぇ、綺麗事フェスティバルで。

西宮浜に腰を下ろし、大竹伸郎さんの「見えない音、聴こえない絵」を読んでいたら、
二匹の野良猫がいつの間にか隣に寝そべって、毛づくろをしているではありませんか。
僕たちは、うまく噛み合わない会話をしばらく楽しんだのでありました。ヘイヘイ、ニャーニャー、と。

そんな本日の散歩にピッタリのBGMがマンゲイラのサンビスタ、タンチーニョのアルバムでした。
昨年末、グッド・ミュージックの道先案内人bunboniさんが絶賛されていた例のヤツです。
軽快な伴奏に乗って歌われるタンチーニョの雄々しい歌声が、夙川をいつもとは違った装いにしてくれました。
部屋で膝を抱えて聴くよりも、街をのんびりと移動しながら聴いたほうが、この作品の良さが際立つ気がします。
夙川の源流を遡れば、どこかでマンゲイラの丘に通じているのではないかと、馬鹿げた妄想するのも、一興です。

TANTINHO / CANTA PADEIRINHO DA MANGUEIRA

テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

般若心経RAP

evisbeats.jpg

   
  『仏説摩訶般若波羅蜜多心経』
 

観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 
  
空即是色 受想行識亦復如是 舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中 

無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界 乃至無意識界 無無明亦 無無明尽 

乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 

心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故 

得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多 是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪 

能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 即説呪日 羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 

菩提薩婆訶 般若心経 

EVIS BEATS / AMIDA
EVIS BEATS / WORLD TOUR

テーマ : 音楽
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アッラーよ、聴こえるか?



昨年度のベスト・ガザル作品がウマイラ・チャンナの『TARANG』なら、今年はコレでしょう。
豪華絢爛さではウマイラにあと一歩及ばないものの、楽曲アレンジの幅広さではこちらに
軍配が上がります。リリジス・ポップス風やアラブ歌謡風まで、とにかくバラエティ豊かです。
隠し味程度に電子音が導入されていますが、基本的に「生」です。やっぱり「生」が気持ち良い!
アルバム全体の質感はメルジャン・デデの『800』に近いかと思います。

サーランギやフルートの幽玄な響き。コズミックなシタールの調べ。
アッラーよ、聴こえるか?
哀愁を帯びた歌唱。粒立って聴こえるタブラのリズム。
アッラーよ、聴こえるか?
ときにドープに、ときにポップに振る舞うKHUSHBOO嬢。
アッラーよ、聴こえるか?
こんな音楽にどっぷり浸ってしまったら、自らの過ちを、洗いざらい吐露したくなってしまうよ。
アッラーよ、聞いてくれ!

KHUSHBOO KHANUM / Ki Khushboo Se...

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パンゲア食堂EXCLUSIVE



僕がグラフィティ・アートに惹かれるのは、そこに不穏なざわめきを感じるからです。
ありきたりな景観の中に突如として立ちはだかる異物感とでも表現すれば良いでしょうか?
自分が立っているこの場所で、憂い気なアウトサイダーがスプレー缶を手に佇んでいた。
そんなことを想像しただけで心が波立つと言うか、背筋がゾクゾクしてくるんです。
それは数時間前の出来事かも知れないし、あるいは数年前なのかも知れない。
時間の堆積は公共物の表面に刻み込まれているのでしょうけど、確かなことは解かりません。
ただ、そこに「絵」があることによって、確実に街が歪んでしまっている。
歪みは、また別の歪みへと繋がる暗黙のバイパスのようなものだと、僕は認識しています。
アートは真実への片道切符を無条件で差し出してくれる。足を踏み入れるか否かは自分次第ですが。

questaoさんが運営しておられるパンゲア食堂のエクスクルーシヴ・ギャラリー「ギャラリー5603」を
鑑賞していたときにも、同様の感覚に囚われました。背筋がゾクゾクするこの感じ・・・。
しばらくの間、僕は一枚の絵の前から動くことができなくなりました。
ゲットーの町角に刻印されたかのような音楽家の残像は、こちらに対して強烈な共振を求めてくる。
音楽家の背後には、ノルウェー語やアラビア語で書かれた様々なメッセージが漂っています。
それはフラッシュバックする音楽家の略歴なのか、それとも自分に対する何らかの警告なのか?
この絵が、自分にとって途轍もなく意味のあるもののように思えてなりませんでした。
その衝動は抑えることが不可能な状態であり、無謀にも僕は店主に交渉を持ちかけてしまったのです。

そして、幾日かの時を経て、その作品「Live in Oslo」は僕の手元へと届けられたのです。
実際に手にしてみると、絵の中に内包されているグルーヴ感が直接的に伝わってきて、
音楽家は何も歌ってはいないのに、我が家に強靭なビートやうねりを与えてくれた。
これが店主questaoさん仰るところの「時間芸術」というものなのでしょう。
いま流れている時間だけが、すべてではないと言うことですね。
このとき僕は、店主と作品に対して深い深い縁を感じずにはおられませんでした。

妻にはシュールな「イノシュシ」を贈呈してくださった店主。
questaoさん、本当にありがとうございました。

テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

終わりなき神町サーガ~Pistils~



著者の出身地である山形県神町を舞台にした忌まわしき年代記の第二章。
前作『シンセミア』は00年代を通じて、最も重要な一冊であることに疑いの余地はない。

阿部和重には、町田康や古川日出男のように独自の文体や言葉がない。
けれど彼は、物語を創出し、それを自在に操作する手腕にずば抜けた才能を有している。
神町の歴史を自身のフィルターを通して語り直そうとする様は、まるで西アフリカのグリオの如し。
小説に於ける三人称とは神の視点を獲得する行為であるが、不遜にも彼は、神を引きずり落とそうとする。

夥しい血と硝煙と陰謀の渦巻くカオスによって、現代の地獄絵図を提示した前作から一転、
本作は拍子抜けするほどに柔らかい描写でメルヘンチックに幕を開ける。だが、油断は禁物である。
著者は阿部和重なのだ。神をも冒涜する危ない男である。
読み進めていくうちに、最初に感じた夢見心地な質感こそが、実は巧妙に仕掛けられた罠だと気付く。
しかし、もう遅い。すでに手遅れなのだ。この禍々しい物語からは、もはや逃れる術はない。

神町で人知れず暮らす魔術師一家を軸に、歴史や政治や感情が幾重にも折り重なって鼻腔を馨香で満たす。
ドラッグやニューエイジ思想やロリコンやいじめやインターネット・ウイルスやCIAの陰謀といった要素を、
これでもかと言わんばかりに盛り込み、読者を別世界へと引きずりこむ。阿部和重の脳内に移植された神町へと。

そして物語は、驚くべき結末へと向かって加速する。
最後のページを捲り終えたとき、重厚な物語の礎が瞬く間に雲散霧消する。
僕は、そのとき自分が於かれている状況を把握するのに、暫しの時間を要したほどだ。
またしても阿部和重の圧倒的な技巧に、まんまと翻弄されていたことを認めざるを得ない。
それは何とも心地良い敗北感である。
すべては最初の一ページ、読者を腑抜けにする要因はそこにある。
そう、三度繰り返されたあの夏(僕は三度目しか経験していない)のように。サマー・オブ・ラブの余韻とともに。

阿部和重 / ピストルズ

テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

不滅のレッド・スター



阪神 VS 巨人。露悪的なメディア報道によって、毎度過剰に煽られる伝統の一戦をTV観戦する。
試合中、アナウンサーの口から聞き捨てならない台詞が発せられた。
しかも繰り返し、執拗に、何度も。

「本日は、志なかばで彗星と化したレッド・スター赤星憲広さんを解説にお迎えしてお送りします」

志なかば・・・。
彗星と化した・・・って、おいおい。
これって非常にデリケートな問題に触れてない?

阪神の攻撃が終わる。巨人の攻撃が終わる。
CMへと突入。CMが明ける。
「本日は、志なかばで彗星と化したレッド・スター赤星憲広さんを解説にお迎えしてお送りします」

阪神の攻撃が終わる。巨人の攻撃が終わる。
CMへと突入。CMが明ける。
「本日は、志なかばで彗星と化したレッド・スター赤星憲広さんを解説にお迎えしてお送りします」

阪神の攻撃が終わる。巨人の攻撃が終わる。
CMへと突入。CMが明ける。
「本日は、志なかばで彗星と化したレッド・スター赤星憲広さんを解説にお迎えしてお送りします」

このような不躾なアナウンスが永遠と繰り返された。恰もそれがルーティンであるかのように。
七回を終えたあたりだっただろうか、不意に映し出された放送席。カメラは残酷な現実を切り取った。
あの温厚な赤星さんの目から、赤い閃光が放たれていたのである。隣のアナウンサーを射抜くように鋭く。
でも、誰も彼を責めたりはしないだろう。がんばれ赤星さん。レッド・スターは不滅なり。

そんな赤星憲広の現役時代のテーマソングと言えば、モトリー・クルー「キックスタート・マイ・ハート」である。
L.Aの狂犬バンドによる疾走感あふれる楽曲が、彼のプレイヤーとしてのスタイルと見事にマッチしていた。
ミック・マーズが掻き毟るザクザクのギター・リフを味方につけて、赤星さんはプロ通算351盗塁を達成したのだ!

常に全身全霊のプレイで自身の身体を痛めつけてきた赤星さん。
ドラッグの過剰摂取で心身ともにズタボロになったモトリー・クルーのメンバー。
共通するのは彼らが体得していた圧倒的な速度。スピードの向こう側を希求してやまなかったのだろう。
そこがまた、両者がスターと言われる所以である。

Mötley Crüe / Red White & Crue

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ミャンマー産・創作懐石音楽



行きつけの料亭の若女将、ポーイーセン。
まるでミャンマー文字のように丸々としたルックスが愛らしい。

こちらでは、異郷の地ミャンマーで収穫された新鮮な食材を味わうことができる。
とりあえずビール、ではなく、サイン・ワインで乾杯が基本中の基本。
続いてミャンマー・タンズィンの演歌和えと、カントリー炒めがテーブルを彩ってくれる。
メインディッシュはディストーション・ギター入りのラウド・ロック煮込み。
独自の音階と味付けの妙に、毎度の事ながら舌鼓が止まらない。
ポーイーセン女将の独創的な手料理と、優しいおもてなしに、とことんまで酔い痴れよう。
ありきたりなレシピ(音)では満足を得られなくなってしまった私の舌と心(下心)を、
女将はあの手この手で癒してくれる。次第に意識は朦朧となり・・・。

閉店間際の店内にはポーイーセン女将と私のふたりだけ。神の恩恵? それとも悪戯か?
私は遂に意を決し、女将のふくよかな二の腕をギュッと掴んだ。
「女将さん、今夜は帰りとうないんや。あんたに惚れてしもうた」
女将の白い肌が、仄かに朱色に染まるのを見逃さなかった。
潤んだ瞳をこちらに向けて、女将はゆっくりとこう呟いた。
「おおきに・・・」

Poe Ei San / War So Moe Nae Pyan Kae Par

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都市のノイズ

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反抗の芸術であるグラフィティ。
ヒップホップの四大要素のひとつと言われるグラフィテイ。
それは紛れもなく不良たちの声であり、体制に対するアンチテーゼ。
あるいは都会に穿たれた穴、もうひとつの世界への入り口とも言える。
これをただの落書きと片付ける日本の教育は、世界から置き去りを喰らうだろう。

真実を希求する者たちへの賛歌。
イリーガル・アンダーワールドへようこそ。

テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

抱擁の歌



近所に住んでいる、ひとりのおっちゃんの話。
おっちゃんは元ヤクザで、現在はアルコール中毒。ここら辺では誰もが知っている事実。
おっちゃんの背中に鎮座する和彫りの龍が、常に周囲を威嚇している。
おっちゃんは一匹の老犬とともに暮らしている。

老犬の名は花子。
花子はおっちゃんのかけがえのない家族。おっちゃんは花子を溺愛している。
人目も気にせずにふたりがじゃれ合う姿は、近所では馴染みの光景だ。
せやけど、忘れてはならない。おっちゃんがアル中だということを。
悲しいことやけど、酒は人間を操作する。夜、アルコールは東淡路の表情を急変させる。

街が眠りにつくのと引き換えに、おっちゃんの言動に狂気が宿る。
それは、いつしか終焉の見えない暴力へと変換されるのだ。愛する花子への一方的な、それへ。
花子は声にならない悲鳴を上げながらも、おっちゃんの傍からは決して離れようとしない。
本能的に知っているからなのか? 自分が誰よりも主人に愛されていることを。

でも、それってほんまに愛なんか? 花子?

その答を知る者はない。当事者である花子とおっちゃんにしか分からない。
花子は懇願するような眼差しで主人の顔をじっと見つめる。
そんな花子に対して、おっちゃんは口汚く罵り、殴る蹴るの暴行を加速させる。
見るに耐えかねて仲裁に入ったこともある。ときには警察の手を借りることさえあった。
けれど、事態は思うように好転しない。近所の住民は揃って唇を噛み締めた。

朝になり、おっちゃんの体内から酒気が遠ざかる。するとまた、いつもの平穏なひとコマが戻ってくる。
ふたりは何事も無かったかのように、軒先で仲良く肩を並べていた。

自分は眠れない夜を音楽と共に過ごす。
ギリシャ歌謡ライカの国民的歌手ハリス・アレクシーウは、自分のために夜通しで名唱を聴かせてくれる。
気高く、母性愛に満ちたハリスの歌声は、誰にも等しく朝が来ることを教えてくれるのだ。
ハリスのステージが終焉を迎え、代わって新聞配達員の足音や雀のさえずりが、バトンを受ける。
そこで、不意に切迫した悲鳴のようなものが聞こえてきた。
花子・・・。そう思ったけれど、彼女ではなかった。
それは、おっちゃんの嗚咽。深い深い悲しみの声やった。

花子が死んだ。みんなが言うに、老衰とのことだ。
それ以降、おっちゃんが酒に狂っている姿を見ることはない。
おっちゃん、もっと早くに気づいてやれよ・・・。
明け方のライカは、喜びや悲しみもまた、誰にも等しく訪れることを告げていたのかもしれない。
花子、さようなら。元気でな。

HARIS ALEXIOU / LIVE AT THE ODEON OF HERODES ATTICUS JUNE 2007-A TRIBUTE TO MANOS LOIZOS

テーマ : 音楽
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晩酌 thc

毎週末のように何処かのクラブに遊びに行っては、夜通し踊り狂っていた時期がありました。
10代後半から20代前半にかけて・・・ですね。ビンビンでしたね、ええ(笑)。

その頃のアンダーグラウンドなパーティには本当に華がありました。
人と同じことはやらないという個性的なDJたちによるスリリングな攻防。
一夜にして世界中を駆け抜けてしまうような雑多な選曲。
ジャンルの垣根が取り払われた当時の現場は、まさに音の解放区という感じでしたね。
ハウスとハードコアがクロスオーバーした時期として記憶されている方も多いのでは?

けれど、いつしか現場は閉塞感に覆われていったような印象があります。
みながみな雑食性を拒み、示し合わせたかのようにディープ・ミニマルに傾倒していく・・・。
気付けば、一晩中ハコ内を没個性的なイーヴン・キックが刻み続けているという・・・。
世間から隔絶したグルーヴに対して、新興宗教というかオカルトに近いものを
感じてしまったのも事実です。必然的に僕の足はクラブから遠退いてしまいました。

それでも、確かに光は差していました。
ドロドロに沼化したグルーヴの間を割って、突如鳴り響く「Samba De Janeiro」。
あるいはバキバキのハード・ミニマルとミックスされるロックステディやカリプソ。坂本九にサローマ。
ハッと我に返ってブースに視線を向けると、いつもそこには同じDJの姿がありました。
それが元スケボー・キング、現ブラスト・ヘッドの光さんでした。
彼の空気を読めない、いや、空気を読まない選曲に何度も吹き出してしまった記憶があります。
クラブに対して一縷の望みを抱いていた自分にとっては、彼のDJは紛れもなく希望の光でしたね。

最後に、光さんの04年夏のルーティンをパッケージした素晴らしいミックスCD「晩酌」の前半リストを
掲載しておきます。またいつの日かクラブで夜を明かそう、光差す瞬間を求めて・・・。

MATTHEW DEAR / Anger Management→IN FLAGRANTI / Just Gazing→CRACKHAUS / French Cheese→
N.O.H.A / Balkan Hot Step→AROMADOZESKI THERAPY / Ranchero-Hop→DIE STERNE / Themenladen→
JUNGLE BROTHERS / Straight Out The Jungle→DRY & HEAVY / Less Is More→
TRES DEMENTED / Demented→JOE HIGGS / There Is a Reward For Me...............(続きは現場にて)

光 / 晩酌
光 / To Home CD

テーマ : 音楽
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夜を濡らすアモーレの鐘



一糸まとわぬ褐色の美女がソファに抱かれていたら、貴方なら、どうしますか?

1.自分の上着をそっと掛けてやり、その後、夜のネオン街に姿を暗ませる。
2.彼女の指先に宿るタバコにそっと火を灯し、その後、夜のネオン街に姿を暗ませる。
3.彼女の隣にそっと腰を下ろし、アコースティック・ギターを爪弾きながら想いを歌に託す。

さて、どうでしょう? 1,2を選択した貴方は立派なスケコマシ。
そして、3を選択した貴方は夢見がちな吟遊詩人。それとも、もしやテリー・キャリアーなのか?

テリー・キャリアー。70年代初頭にフォークとジャズを美しくブレンドした黄昏のSSW。
彼の爪弾くアコギからは息遣い、いや、甘い吐息までもが聴こえてくるかのようだ。
淡々と物語を奏でるメロウな歌声は、リスナーをただひとりのヒロインとして迎え入れる。
それぞれの音の微粒子が深く身体に染み込んだならば、当の女性に、もはや為す術はない。
そんなテリーを陰ながら支えているのがストリングスの魔術師チャールズ・ステップニー。
彼の心憎い演出が、今宵、ふたりを扉の向こうへと誘うだろう。

ラスト「You Don't Care」のイントロが爪弾かれる頃には、ふたりの間に言葉はいらない。
淫らで刹那的な夜に溶け込むだけである。扉は開き、鐘が打ち鳴らされた。
そして身も心もひとつとなった男女は、あたたかい毛布に包まれながら、こう囁くであろう。
「朝よ、こないで・・・」と。

TERRY CALLIER / What Color Is Love

テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

えっさほいさ・イッサ・エル・セー



当ブログ「まだ寝ません」に三度目の登場となるハイチ音楽。
コンパ(ヌムール)→ヴードゥー・ドラム(チロロ)ときて、今回はメラングです。
はて、メラングとは何か? 私の頭の中のうろ覚え雑記帳によると、メラングとはコンパの重要な
源泉のひとつであり、シンプルなハーモニーの反復パターンで形成される4拍子のダンス音楽とある。
ドミニカのメレンゲとは異母兄弟みたいなものなのでしょうか? まぁ、例によって曖昧ミー・マインです。

とにかく音を聴かないことには始まらないってことで取り出したのが、イッサ・エル・セーさん。
如何にもダンディーなこの御方がビッグバンドのリーダーであり、メラングを代表するサックス奏者です。
アルバム「LA BELLE EPOQUE」は47年~56年までの楽曲を中心に選曲されている模様。
ハイチ音楽の名手に加え、キューバや北米のマエストロたちをも交えたポピュラー音楽一大絵巻。
もちろんタイコの神様チロロも参加しています。

アコーディオンの演奏が無いせいでしょうか、コンパよりもやや洗練された印象を受けます。
いやいや、それでも十分に庶民的で、あたたか味のあるサウンドです。
ハイチ上空を優雅に飛翔するエル・セーのサックス、ボトムにはアフリカやキューバの土着性が滲む。
ラストに収録された「Odan Na Mire」の長閑な祝祭感は、いつ聴いても幸せな気分にしてくれます。
こういうのが大人のミクスチャー音楽というものなのでしょう。こりゃあ、今夜も眠れnightです。

ISSA EL SAIEH / LA BELLE EPOQUE VOL.2

テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

気まぐれニンフェットの偏愛ツンデレ紀行



ロシア文学界の巨匠ウラジーミル・ナボコフの偏愛ロード・ノヴェルの傑作。
こちらは発表50年を記念して刊行された、若島正さんによる決定的な新訳である。

時空を超えて、ニンフェットはようやくナボコフの呪縛から解放されたと言っても過言ではない。
そう、ひとりの勇敢な日本人翻訳家の尽力によって。それほど若島さんのリミックスは素晴らしい。
幻の聖少女として流布しているロリータが、小生意気なギャルに生まれ変わり、行間を奔走する。
言動、思考形態、ノリに至るすべてが完璧なまでに渋谷109辺りをほっつき歩いている小娘そのもの。

文学的会話を廃することで、むしろ作品の世界観は揺るぎないものになっている。
そして、ロリータのツンデレに徹底して翻弄される似非紳士ハンバート・ハンバートの滑稽極まりない
立ち振る舞いに抱腹絶倒すること間違いなし。若島さんは読者の甘ったれた幻想を完膚なきまで破壊し、
本作とは従来のように畏まって対峙するものではなく、もっとカジュアルに読まれるべき作品である
ということを教えてくれる。と言うか、逆にロリータが「チョリース!」と言わないのが不思議なくらい。
読書中、みなさまの頭の中に華原朋美の「アイム・プラウド」がエンドレスで反響することでしょう。
つまりは、そういう小説だってことです(笑)。

「あたしたちが恋人だってバレたら、お母さんめっちゃ怒るかしら?」
「恋人よ、私はただひたすらお前の格子縞のスカートに顔を埋めたい」

ウラジーミル・ナボコフ / ロリータ(若島正remix)

テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

重灰煙音響(@questaoさん)



アフロ・グルーヴで武装したマイホームパパ・questaoさんがマッシヴアタックの新譜をレコメンドされていたので、
自分も便乗してマッシヴ関連で世間様を、文字通り煙に巻いていきたいと思います。よろしく、どうぞ。

マッシヴ・アタックと言えば「Blue lines」や「Mezzanine」という不朽の名作を残していますが、
自分が最も愛聴しているのが、こちら。K7からリリースされたダディ・GのミックスCDです。

Willie Williamsの「Armagideon Time」で幕を開け、Sound DimensionやJohnny Osbourneといった
クラシックに自身の楽曲を交えつつ、すべてをぶっ太いベースラインと独自の倫理観でブレンドしていく。
前半のハイライトはMeters「Just Kissed My Baby」からNusrat Fateh Ali Khan「Mustt Mustt」の
Massive Attackリミックスへとスイッチされた瞬間に、空気の質が一変するところですかね。
ブリストルとパキスタンの邂逅、アブストラクト・カッワーリーですね。素晴らしい!
全編、テクニックではなく、あくまでも快楽性を重視してミックスされる。無論、危ない快楽です。
部屋中が黒煙に満たされていくかのような、ハードボイルド且つソウルフルな展開は、
まさにquestaoさん仰るところの重灰煙音響という感じです。
重厚なベースの美学によって聴覚も精神もドロンドロンにされたあとは、
有無を言わず、静かに布団に沈みこみましょう…。ズブズブズブズブズブズブ…。

Daddy G / DJ-KICKS

テーマ : 音楽
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哲学の道でラブリー・ボーン



先日、桜の名所でお馴染みの、京都は「哲学の道」に行って来ました。
桜を鑑賞すると、寒い冬の間に萎縮していた気持ちがパーっと拓けていくような気分になります。
奈良~平安時代には、恋文の代わりに桜の歌を詠むという風潮があったと言います。
何百年の月日を経ても、桜の開花を心待ちにする日本人。ロマンティスコな話じゃないですか。

そんな満開の桜に抱かれながら、みなさまはどのような音楽を聴かれるのでしょう?
今年の我が家はベトナムの民歌をチョイスしましたよ。
酔漢と化したドラえもんの四次元ポケットを抉じ開け、無理矢理に取り出したのがファム・フォン・タオ。
民歌をポップスの感覚で歌い上げる美しい娘さんです。

このような愛くるしいルックスなので、どうせ甘ったるい歌声なんでしょ、なんて思ったら大間違い。
数多の感情を内包しながらも、すべてを歌に託しいてるかのような渋みのある歌唱。
伴奏は如何にも飛んでホーチミンといった具合で、笛の音色が良い塩梅です。桜なのに塩梅です。
全体的にもっさりとした印象ではありますが、酒との相性は抜群でしょう。桃色気分です。桜なのに桃色。
そんなファム嬢の歌に浸っていたら、何処からともなく妙なイントネーションの関西弁が…。

「ジェシカ、あんたキレイやで」
「Really?」
「ほんにキレイや。サクラに負けとらん」

桜の木をバックにノスタルジックなポーズを決めるふくよかな金髪女性に対して、
カメラ片手にエモーション全快で迫る白髪の男性。こんなにも微笑ましい中年の西洋人カップルをバカにする
ような奴がいたら、私は許さない。殴ってやる。とか、言いつつも、太ももを抓って必死に笑いを堪えていたのは、
他ならぬ私である。隣を見たら、すでに妻が吹き出していた。誰か私たち夫婦をぶん殴ってください(笑)。

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PHAM PHUONG THAO / LOI RU DAT NUOC - VOL.3

テーマ : 音楽
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マグレブ警報発令

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やはり人間好奇心を持ち、さまざまな場所へ積極的に行き、自分で見聞してからでないと
無責任なことは言うべきではないと痛感する。日本は異常に情報に取り囲まれているので、
本屋で本を手にしCDビルで外国の音を耳にし、日本から一歩も出ることなく自分の意見を
言いたがる傾向にあるが、やはり意見を言うのならまず、そこへ行かなければ話にならない。
アタマで理解することと、人間としてのバランスは重要だ。

上記は偉大なる画家・大竹伸朗さんのモロッコ旅日記「カスバの男」からの抜粋なんですが、
うーん、さすがに説得力がありますねぇ。世の中が「情報はあるが、金はねぇ」という傾向に
あると、どうしてもテキスト語りに陥ってしまいがちですもん。しかし、この問題は…、あっ、
…えええと…あの…臨時速報が入りましたので、しばし中断です…。

大阪管区気象台からお知らせいたします。
現在、大阪府上空に非常に精力の強いマグレブ・タイフーンが接近中。
高音域を飛翔する毒気を含んだアラブの風、非常に強く、関西圏全域に狂風警報が出ています。
また、ダルブッカの降らす変拍子の雨による音響機器への被害が懸念されます。
極めて湿度の高い猥雑なグルーヴのため、人体へ何らかの悪影響を及ぼす可能性120%でしょう。
特に女性は生理不順、及び、想像妊娠などの被害を受けぬよう十分な注意が必要です。
貞操を守るためにも、警報が解除されるまではスピーカー付近には決して近づかないで下さい。
ノンストップ・コブシ・モンスターと化した大型のマグレブ・タイフーンは、このまま日本列島を
舐めるように北上する模様。以上、大阪管区気象台よりお知らせいたしました。

…大事な話の途中でしたが、いまはそれどころではありませんぞ。一刻も早く妻の両耳を塞がなくては。
みなさまも十分にお気をつけ下さい。

JALAL EL HAMDAOUI / SIDI BABA
KADER JAPONI / NTALAAK FEL HOUARI OU NHABTEK FI ORLY

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「ボーイズ・オン・ザ・ラン」鑑賞記録



映画の日なので、久々に映画館にて鑑賞してきました。ところが、
映画の日にも拘わらず、客は自分を含めてたったの三人。ふたりは若い女子でした。

結論から言うと、とんでもない後味の悪さです。でもそれは、言うなれば必要悪。
意図的に露悪性に焦点を絞って撮られていることで生ずる不快感なんですが、
それは現代を忠実に描こうとすればこその表現なんでしょうね。

ストーリーは到って単純。
冴えないサラリーマン男性が地べたを這いずりながらも青春を謳歌するというもの。
単純でないのは寧ろ現実のほうで、監督はそのあたりをしっかり描いておられる。
意志をまっすぐに貫き通しさえすれば、いつかは報われるなんてのは、最早ファンタジーでしょ。
大切なのは、そのとき自分が何を感じているか、ですよね。どんな景色が見えているか。
あるいは、恋愛を通して世間にはびこる差別(格差)を徹底的に浮かび上がらせてもいる。
その手腕は見事というしかありません。監督の揺るぎない世界観を支えるのは素晴らしい役者たち。
とくに主人公を演じた銀杏BOYZ・峯田和伸さんのズルムケの存在感は圧倒的でした。
「鉄コン筋クリート」の蒼井優が、「ゆれる」の香川照之がそうであったように、
確実にあちら側に足を踏み入れてしまっている危ない演技。いや、違う。
みんな役者という皮を被った実在する人物なのだ。そう思わせてくれる説得力がありました。

だから、アンチクライマックスなラストにも自分は賛同します。
自分たちの日常に終わりがないように、登場人物たちもそれぞれの日常に帰っていくだけ。
そこに過剰な演出や、感動的なエピソードは必要ありません。
この映画は現代に蘇った「三四郎」といっても過言ではない。
とてつもなく後味は悪いですが、とてつもない傑作だと思います。
主人公がカラオケボックスで岡村孝子の「夢をあきらめないで」を歌うシーンでは、つい涙が…。
自分が鼻を啜る音だけが、上映終了後の館内に反響していたことは、言うまでもありません。

三浦大輔監督 / ボーイズ・オン・ザ・ラン

テーマ : 映画
ジャンル : 映画

MASHOMBE BLUE JEANS



電車に乗り込むや否や、私の視界を奪うものがある。
中吊り広告に踊る、煌びやかなフォントたち。
「佐々木 希が魅せる。マションベ・ブルー・ジーンズの着こなしテクニック」
爽やかなモデルの笑顔とマションベという聞きなれない単語が、瞬時にして脳裏に焼きついた。

駅に降り立つや否や、またしても私の視界を奪うものがある。
頭上に設置された巨大モニターをスクロールする、意味深なセンテンス。
「この春、鮮力絶大! マションベ美人スタイル」
その場に呆然と立ち尽くす私は、無意識のうちに「マションベ…」と呟いていた。

行き付けのアパレルショップに立ち寄ると、今度は聴覚を刺激するものがある。
スタイリッシュな服装に身を固めた客と店員の何気ないやりとり。
「マションベ・ブルー・ジーンズは置いてます?」
「申し訳ございません。好評につき、現在品切れでございます」
またしても、マションベ。これは只事ではない。どれほどイカしたジーパンなのか?
私の知らぬ間に、マションベなるものが日本中を席巻しているかのようだ。

その後、喫茶店で一息ついていると、隣の席のカップルの会話が私の両耳に滑り込んできた。
「なぁ、マリコ。おまえ、ナントカ・ブルー・ジーンズって知ってる?」
「もちろん。いま話題のやつでしょ。品切れ店が続出してるらしいよ」
「マジか? 凄ぇな。ところで何ブルー・ジーンズやったかな?」
「えーっと、あれ、おかしいな、なんだっけ?」
そう言って彼女は頭を抱え込んでしまった。レディよ、私は知っておるぞ。
どうにかして答えを教えてやりたい衝動に駆られた私は、女に向かって懸命に念を送った。
「ま・しょ・ん・べ」と。
しかし、と言うか、やはりと言うべきか、私の試みは失敗に終わる。
「あかん。出てこない。完全に度忘れしちゃった」
「まぁ、ええか。ちょっと俺、ションベン行ってくるわ」
そう言って席を立ち、トイレのある方角へと歩を進める彼氏。
まさかの展開に私は愕然とした。いや、正確には憤慨した。
なぜにションベンが出て、マションベが出ないのか!? 奴らは阿呆ではないのか!?
そういう自分はマションベ・ブルー・ジーンズの正体を未だに知らない。どっちが阿呆なのか?
そうこうしている間にも、私の尿道付近にも小悪党どもが大挙を成して押し寄せてきた。

と、言うわけでマションベ・ブルー・ジーンズ最高ですよ。はい。
手作り楽器群の織り成す極上のトロピカル・サウンドです。はい。
詳細&購入はエルスールレコーズにて、よろしく、どうぞ。

MASHOMBE BLUE JEANS / MAKALI ONE

テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

プロフィール

繁盛亭アルバイテン

Author:繁盛亭アルバイテン
ヒッピー・ボヘミアンな生活に憧憬を抱く浪速のポンコツ。
物心ついたときから寝つきが悪い。

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