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貴女の笑顔が見たいから



嗚呼・・・、ため息が漏れるほどに美しい。下ネタで汚れきった心が、浄化されるかのようです。
御年75歳の歌声とは、とても思えません。いかなるものにも束縛されない声とでも言いましょうか?
歌声そのものが、和平を願うアラブの心を体現しているかのように、穏やか。喜怒哀楽を超越しています。
そんな女神の歌声に寄り添い、吐息を絡めるのが、息子さんの手がける静謐なプロダクションなんですが、
ジャズへのアプローチも垣間見せるアーバン・ポップな展開で幕を開け、次第にジャンル名「フェイルーズ」
としか言いようがない独自の境地へと、ゆっくりと羽ばたいていきます。これほどの親孝行があるでしょうか?
誰よりも母のことを理解する息子が、母の歌を世界に響かせるために、最高のクオリティを誇る楽団を率い、
アラブ歌謡そのものに改めて魂を吹き込むかのような音を精製するんですから、やはり他とは格が違います。

フェイルーズさん、息子さんの為にも長生きしてくださいね。
そして、いつしか中東に平和が訪れることを願っています。
だって、貴女の笑顔が見たいから・・・。

FAIRUZ / EH FI AMAL
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テーマ : 音楽
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脅威のザーメン・ブギー



当ブログに何度か登場している学生時代の親友T君の性癖について、一筆したためておこう。
T君には風変わりな収集癖があり、それは例えば自身の爪や瘡蓋であったりする訳なのだが、
究極は、自慰行為によって外界に放出された精液を、牛乳パックにて保存するというものである。
そうすることによって彼は、受精という目的を果たせなかった分身たちの行く末を、見守っていたのだ。
だが、あるときT君はしくじった。精液を補充しようとした際に、局部先端が牛乳パックの口に触れてしまう。
そして、瞬く間にT君の局部は腫れ上がった。さらには薄皮がベロンベロンに捲れて、それはもう悲惨だった。
以来、T君は精液コレクションを手放した。いまでは美しい奥さんとの円満な家庭を築いているとのことである。
真っ当な道を歩んでおられる方々は、理解に苦しむだろうが、これが現実である。人間とは不可解な生き物だ。

さて、ここらでサンフランシスコ出身のゲイ・カップル、マトモスの通算6枚目のアルバムの話題へと移ろう。
本作はヴィトゲンシュタインや、ラリー・レヴァン、三島由紀夫・・・といった人物をテーマに制作されている。
ひとりの人物に対して一曲というコンセプト・アルバムである。曲調も多様。と言うよりは取り止めがない。
しかし、侮ってはならない。企画倒れのイロモノなんかじゃない。緻密に作りこまれた極上の変態ポップなのだ。
もともと偏執狂的なサンプリング・コラージュを得意とするマトモスだが、本作でも彼らの嗅覚は冴え渡っている。
なんたって、自慰行為によって外界に放出された精液が床に付着する際の音を採集し、それをSEに用いたり、
セックス時に男女の局部が擦れ合う音をループさせ、スカムなブレイクビーツと混ぜ合わせている。
そんな精液哀歌で美声を響かせるのは、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのアントニー・ヘガティである。
まったくもって、吐き気を催すほどにデカダンス! 他にも、蝸牛にテルミンを演奏させたりもしてる(笑)。
真っ当な道を歩んでおられる方々は、理解に苦しむだろうが、これも音楽である。音楽とは不可解な行為だ。

MATMOS / THE ROSE HAS TEETH IN THE MOUTH OF A BEAST

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マリの至宝、伝説の光

mbemba.jpg

小屋の片隅に、気配がある。藤編みの籠の中に、その子の気配は。
この世に生を受けたばかりの、あらゆる面に於いて未満の、未成熟の赤子。
赤子の母親は、黒い肌。父親も黒い肌。一族は黒い肌。しかし、赤子の色彩は。
色彩は、白。眩いほどの白。頭頂には銀色の髪。厳密には白ですらない。赤子には、ない。
色彩が。生まれながらにして、赤子にはあるべき色彩が、ない。それは極めて美しい欠色=アルビノ。
赤子は母親を求めて、泣き声を上げた。その声は、小屋を震わせ、村中に響き渡る。村人たちの手が止まる。
母親は瞳に涙を浮かべて、赤子を抱き上げた。無色の我が子、奇跡の声を持つ欠色の男児、サリフ坊を。

僕に上記のような妄想を紡がせてしまうほどに素晴らしい歌声を持つ、マリのシンガー、サリフ・ケイタ。
恥ずかしながら、彼の作品は、世紀の傑作と名高いソロ・デビュー作の『ソロ』しか聴いていませんでした。
で、今年に入って、ようやく05年の『ムベンバ』を購入するに到ったのであります。きっかけはquestaoさん。
尊敬する兄貴、questaoさんが、サリフの『ムベンバ』をディケイド・ベストに選出しておられた訳ですよ。
結論から言いますと、いままで聴いてこなかったことを後悔しましたね。壮大なスケール感と圧倒的完成度。
『ソロ』で聴けた鋭利な歌声に、円熟味が加味され、包容力のようなものまで感じさせてくれます。
アコースティックな伴奏や多彩なコーラス・ワークも非の打ち所がなく、これこそアフリカ音楽に於ける洗練の
極みではないかと。まさにマリの至宝、伝説の光と呼ぶに相応しい歌い手ですね。questaoさん、おおきにです。

SALIF KEITA / SORO
SALIF KEITA / M'BEMBA

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すべてが穏やかだ・・・



多くを求めず、自分のやるべきことをやり、家族や仲間との時間を大切にする。
主張があるならば、自ら創造し、如何なる者にも媚びてはならない。

アンダーグラウンド・レジスタンス(以下、UR)という存在を知り、上記のような人生哲学を学んだ。
思春期に彼らの音楽に出会わなければ、いまとはまったく異なる人生を歩んでいたかもしれない。
彼らの音や、言動、スタンス、それらすべてが、青臭いガキの精神的支柱になっていた。いや、いまもそうだ。
URの12インチ・レコードに針を落とせば、いつだって僕は勇気づけられる。目を閉じれば宇宙にだって行ける。
テクニックだけが音楽をスウィングさせる訳じゃない。感情が、熱量が、魂が、音楽をスウィングさせる。

雷鳴を轟かせながら、地響きのようなトライバル・ビートが迫る「Amazon」を聴いて欲しい。
美しい循環コードのリフが天高く舞う「Jupiter Jazz」を聴いて欲しい。
そして、魂を揺さぶる「Hi-Tech Jazz」を聴いて欲しい。

決して大袈裟な表現ではなく、これらの楽曲は、いまでも僕の涙腺を崩壊させる力を持っている。
今日、きっと彼らはデトロイトのゲットーで、地元の人たちを集めて、クリスマス・パーティをやるんだろうな。
見張り役のマイク・バンクスは、夜空を見上げるかな? 僕は見上げよう。URの美しい名曲に、身を委ねながら。
『WORLD 2 WORLD』のアナログ盤面には、以下のような言葉が刻まれている。

「ALL IS CALM FOR NOW」

Galaxy 2 Galaxy / a hitech jazz compilation

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リリカル・ハミング・バード



『モロイ』(サミュエル・ベケット著)という小説の中に、面白いオウムが登場します。
極めて清楚な淑女に飼われているオウムなんですが、こいつが実によく喋るのです。
首を傾げ、じっくりと思案した後に言い放ちます。「この売女の、助平の、糞たれの、たれ流し」。
それを聞いたモロイは思います。「私は彼女を理解するより、オウムのほうをよく理解した」。
なははは、やっぱりベケットは面白い。これほど背筋がゾーッとする状況も、そうそうないでしょう。
清楚な女性の愛玩動物が放つスラング。「この売女の、助平の、糞たれの、たれ流し」。なははは。

と、例によって脱線トリオな前置きを経てのピシンギーニャです。ライスレコード曰く、ブラジル音楽の父。
僕の数少ないブラジル音楽コレクション(と言えるほどの数もない・・・)の中でも、特に好みの一枚ですね。
ベケットの描いたオウムではありませんが、ピシンギーニャのフルートも、実によくさえずります。そう、
ショーロやジャズやアフロの狭間を飛翔し、極めてリリカル(叙情的)なさえずりを聴かせてくれるのです。
僕はオシャレなカフェなんかで流れているオシャレなボサノバなんかが苦手で、ブラジル音楽そのものを
長らく敬遠していたんですけど、この天才フルート奏者は別格。もちろん詳しいことは何も知りませんよ。
ただ、音のみに魅了されました。絶妙にブレンドされた「黒さ」と「白さ」。大衆を鼓舞するパーカッション群。
こんなのがカフェで流れてきたら、コーヒー16杯は軽いでしょう。嘘です。コーヒー飲めません。

PIXINGUINHA / O MAESTRO DO BRASIL

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プロフィール

繁盛亭アルバイテン

Author:繁盛亭アルバイテン
ヒッピー・ボヘミアンな生活に憧憬を抱く浪速のポンコツ。
物心ついたときから寝つきが悪い。

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